心身の成長は当然のことながら脳の育ちと機能に密接です。
「きちんと座っていれれない子の増加、朝からあくび、「疲れた」の連発、
 体温調整不良群・血圧調整不良群の増加、アレルギー・目の悪い子・不登校の増加、
 前頭葉の発達不全等々」
子供達の現況は健康、健全とはほど遠くなるばかりです。
なかでも「前頭葉の発達不全」は気掛かりです。
前頭葉には抑制機能の中枢があると言われます。
認知脳科学分野で抑制能力を調べる、
GO/NO-GO課題と呼ばれる簡単な動作テストのデーターによると、
日本の現在の小6、中1は、
30年前の小1、2年生レベルであるとの指摘もあるといいます。
つまり、抑制能力・行動制御能力が未熟であるというのです。
更には、ADHD(注意欠陥多動性障害)や行為障害、反抗挑戦性障害、
人格障害、分裂病等、行動制御に問題が生じていると考えられる障害では
GO/NO-GO課題がうまくできず、
前頭葉の活動性が低いことが報告されているというのです。
日本人の前頭葉の機能低下、特に制御機能の低下が、
ここ30年くらいのスパンで生じていて、
そのことが昨今のいろいろな問題の根底にあるのではと考える
ある医学者は次のように言っています。

 「他の動物に比べてヒトは未熟な状態で生まれてくる。
そのためヒトは他の動物に比べ子育ての期間が長くなった。
しかし、反面、未熟化(ネオテニ−)によって巨大な脳を手に入れた。
このネオテニ−によって最も発達したのが、
進化史的にみてもっとも後で生じてきた前頭葉、
特に46野を中心とした前頭連合野であった。
 ネオテニーについて人種別に見てみると、
日本人を含むモンゴロイドは、欧米人等のコーカソイドと比較して
脳の比率が大きく子供っぽい。
つまり欧米人等と比べてネオテニ−が進んでいると考えられる。
従ってモンゴロイドは、
より長く丁寧に脳を育てる必要がある人種だと考えられる。
実際モンゴロイドは、集団で丁寧に子供を育てる習慣があり、
その期間が長かった。
 しかし、日本では、高度成長期以降、核家族化や地域の崩壊が進み、
集団での子育てが崩壊した。
子供部屋の確保等欧米並の早いオトナ化が進んでしまった。
この早いオトナ化が、前頭葉の未発達につながり、
前頭葉が司る社会的知性や感情的知性の成長を未熟なものにしてしまった。
そして「学級崩壊」「きれる子供」「青少年の犯罪」を生み、
援助交際やヤマンバや「平然と車内で化粧する脳」を生んだ。」

 危機に瀕した前頭葉は救いがたいか?
「幸いなことに、前頭葉の発達は脳の中でも最も遅く、
少なくとも25歳くらいまでは十分発達出来る」と、
この記事の筆者は書いています。
しかし、学齢期が過ぎてから「遅ればせながら」成熟する前頭葉ばかりになったら、
間違いなく日本は滅びます。
乳幼児期から「じっくり三つ子の魂」を育て、
せめて小中学生のうちに、順調に前頭葉も発育しますように、。。。。(後略)